ハゲタカジャーナルについて

粗悪学術誌、いわゆるハゲタカジャーナル「predatory journal」といわれる雑誌についてご存じでしょうか？

『投稿料詐取を目的とする悪質な雑誌』のことです。ハゲタカジャーナルへ投稿をすることで、間違えたとしても公表論文数を稼ぐためと誤解を与え、投稿者はマイナス評価されることになります。

悪影響を受けることがあります（*1)

• 著者は当初想定していたより高額な論文掲載加工料を請求される。
• 悪徳雑誌に論文が掲載されることで、著者や所属機関が否定的な印象を持たれる。
• 学術文献データベースに収録されないため、掲載論文が広く流通せず、また業績評価の対象とならない。
• 悪徳雑誌はサイトの管理に責任を持たないため、掲載論文の永続的な保存が保証されない。
• 投稿した後に適切な査読手順を持たないあやしい雑誌であると気づいても、投稿論文を取り下げることができず、また一度発表された研究内容は他誌には投稿できないため、せっかくの研究成果が悪徳雑誌のサイトに埋もれてしまう

図書館の資料を使って防止する方法

図書館を利用してハゲタカジャーナルを見分けるには、これらの信頼おけるデータベースに投稿する雑誌が収載されているかで判断する方法があります。

• Web of Science の Master Journal List （本体契約中）
  http://mjl.clarivate.com/

Web of Science  でホストされているジャーナルタイトルの検索ができます。Web of Science は、IF（Impact Factor：雑誌引用度）を確認できる JCR（ Journal Citation Reports）を含むプラットフォームです。 これらは社内専門家チームによって厳選された高いレベルの編集の厳密さとベストプラクティスを示すジャーナルのみが含まれています。

本学では、Web of Science と JCRは契約しており、IFの確認もできます。

• DOAJ（Directory of Open Access Journals：オープンアクセス学術誌要覧）（フリー）
  https://doaj.org/

オープンアクセス学術誌の検索が無料でできるデータベースです。2014年以降は、収載に厳しい審査基準が設けられています。(*2)

データベースで確認できても安心できない

「札幌医学雑誌(The Sapporo Medical Journal)」は、上記の Web of Science Master Journal List に収載されている雑誌ですが、安易に投稿はできません。

偽サイトが存在していることが、札幌大学より注意喚起されています。

【注意喚起】札幌医学雑誌を名乗る偽サイトについて（札幌医科大学附属総合情報センターWebサイト）
　https://infonavi.sapmed.ac.jp/jpn/news/news-library/5093/

データベースで確認できない雑誌

本部図書館は、本学英文紀要「Bulletin of Osaka Medical and Pharmaceutical University」の発行に携わっています。そのためハゲタカジャーナルでないと断言しますが、上記データベースの収載審査に資するに至っておりません。このような雑誌もありますので、確認できないからといって一概にハゲタカジャーナルとはいえません。

残念ながらこれ以上に本学図書館で紹介できるデータベースを使用して調べる方法はありません。

最後は総合的に判断

ハゲタカジャーナル投稿防止の総合的判断に役立つチェックリストの情報を紹介します。

チェックリスト　日本語（Think. Check. Submit）(*3) □そのジャーナルの論文を以前に読んだことがありますか？ □そのジャーナルの最新論文は、簡単に見つけることができますか？ □ジャーナルの名称：名称は独自のもので、他のジャーナルと同じであったり、混同され易かったりしませんか？ 　・・・その他多数項目あり

• Think, Check, Submit をビデオで紹介　ビデオ見る（YouTube）

（参考）

1. 悪徳雑誌への注意喚起について（日本医学会、2019/3/8付）
   http://jams.med.or.jp/jamje/attention_vicejournal.pdf
2. オープンアクセス誌要覧サイトが、登録要件を厳格化（Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 11）
   DOI: 10.1038/ndigest.2014.141114
3. Think. Check. Submit.、論文の投稿先を検討する際のチェックリストの日本語訳を公開 （国立国会図書館、カレントウェアネス-R　2024.01.24）
   https://current.ndl.go.jp/car/209352